教育支援体制EDUCATION SYSTEM

学習環境

発達を支援するシステム

看護師の発達を支援するシステムは、(1)育成(2)評価(3)処遇の3つの要素と、それを支える(1)フィードバック(2)支持・支援(サポート)(3)教育・相談の3つの機能から構成されます。

看護はまさに実践の学であり、日々の実践を通して多くを学び、成長していきます。どの職場に配属されても、急性期の看護実践を学ぶことができることが、当院の強みのひとつといえるでしょう。新人看護師の教育は到達目標をあげ、現場教育(OJT)と院内集合教育(Off-JT)とを連動して支援しています。

3つの要素

  1. 育成

    個の経験の内容を重視し、経験年数ではなく個別の能力を尊重し、それに見合った目標の設定や、学習計画・支援を行います。

  2. 評価

    自己評価と他者評価(同僚、主任・師長、看護部)の2つの方向から評価を行っています。ここで言う評価とは、優劣を査定するものではなく個々の看護師が主体的に自己の成長発達を促すためのものです。そのためには、評価のプロセスの中で、フィードバックという機能が重要となります。評価することは、評価のプロセスを通して共に育ちあうことを意味し、フィードバックの目的は個々の看護師の成長発達度をみるものです。

    自己目標・
    学習計画シート

    成長・発達のための行動目標のツールとして自己目標・学習計画シートがあります。
    自分で学習計画を立て、その目標に対して自らが行った学習の内容と成果を自己評価し、同僚や上司から他者評価を受けます。多面的に成長発達を認め、承認するプロセスを通じて、成長を実感していくのです。

    ポートフォリオ

    2010年から、看護部ではポートフォリオを導入しました。
    日々の実践を貴重な「経験」として、目で見える形に表現していけるように。
    受講した研修を、自分の実績として積み重ねていけるように。
    キャリアを見える形で蓄積していくことで、自分の強みに気がつくこと、これから先のキャリアを考える材料にできることを目指しています。

  3. 処遇

    個々の看護師のキャリア形成を前提に現任教育の受講時期の決定や各種研修(海外研修・認定看護師研修学校など)の派遣選定、ジョブ・ローテーションが計画的に行われます。

プリセプターシップ

新人看護師が職場にスムーズに適応し、看護師としての基礎を養うためにプリセプターシップを採り入れています。プリセプター研修を受けた先輩看護師が、看護師長・主任・副主任・臨床指導ナース・同僚と一緒にプリセプティ(新人看護師)を支援します。

  • 新人看護師一人ひとりに合った
    指導とサポート

    Iさん(左)

    新人たちは入職時に比べ患者さんと丁寧に関わることができるようになり、看護の視点で考える姿を見ると成長を感じます。病棟では月に1回師長・主任・プリセプターで集まり、個々の進捗や指導方法について話し合います。一人ひとり成長過程が違うため個々に合った指導ができるよう関わっています。また学習や業務の指導だけではなく精神面にも寄り添いサポートできるよう心がけています。プリセプターを担うのは今回が初めてであり、先輩からアドバイスを受け日々模索しているところですが、ただ業務や知識を教えるのではなく、新人の看護師としての考える力を伸ばせる指導ができるようになることが目標です。

日々の実践のサポート

日々の実践は、シフトのリーダーを中心にメンバーで協力し合い看護を提供し、(「慶應チームナーシング」を参照)看護の質を保証しています。新人看護師の指導はプリセプターだけでなく、シフトのチームリーダーも指導にあたり、困ったときには相談を受けられるサポート体制となっています。このように、チーム全体で新しい仲間を支援する体制が構築されています。

学び合う風土

医療の世界は日進月歩です。常に知識や技術が更新されていきます。学習する機会は、様々です。病棟での医師との学習会や専門看護師・認定看護師の主催による院内の研修等も毎年多く企画されています。専門職業人として、患者さんへの最良の医療の提供を目指して学び続けることができます。

信濃町メディアセンター
(北里記念医学図書館)

わからないことを調べたり、情報を集めたりするのに欠かせない存在がこの信濃町メディアセンターです。蔵書は医学とその周辺領域からなっていて、医学関連の専門図書館として日本のトップグループに位置しています。平日は21時まで、土日は18時まで開館しているので皆さんの先輩方もよく利用しています。病院建物 の西側に位置し、2階には北里講堂があります。

クリニカル・
シミュレーション・ラボ

慶應義塾大学医学部クリニカル・シミュレーション・ラボでは、医学部生、研修医、看護師そのほかメディカル・スタッフの方 が随時トレーニングを行えるよう、様々なシミュレーション機器を取りそろえています。また、専任者がBLS、二次救命処置等のトレーニングを実施しています。看護師も、静脈注射や救急蘇生訓練などに活用しています。病院建物の北側、東校舎1階にあります。

e-ラーニング

当院ではe-ラーニングツールを活用して、オンラインで看護技術やフィジカルアセスメントの学習ができるよう体制を整えています。オンライン動画視聴で事前学習を行い、研修で実際に技術を経験します。オンライン動画は研修後にも見ることができるため復習にも役立ちます。このように、学習や演習を積み臨床で実践することで、確実な知識と技術を身に着けることを目指しています。自宅や外出先でも、自身のスマートフォンやタブレットからアクセスでき、空いた時間を上手に使って効率よく自己学習することができます。 また、基礎看護技術マニュアル、検査手順が電子カルテ用パソコンに掲載されています。初めて行う看護技術や診療の補助などが予定外に入ったときなども、部署のパソコンですぐに確認することが可能です。

慶應義塾生協(信濃町店)

文房具、医療・看護の専門誌がそろっています。書籍は生協組合員になると割引で購入できます。病院建物の西側、メディアセンターの斜め前にあります。