看護部からのお知らせ INFORMATION

基礎看護技術研修が開催されました

 2021年4月14・15・16・21・22日の5日間、新人看護師を対象とした基礎看護技術研修が開催されました。基礎看護技術研修では、臨床で活用する機会の多い技術や侵襲度の高い技術について原理・原則を学習し、患者に安全・安楽に看護技術を実施できるよう演習を行います。
 新人看護師は事前に配布された映像教材と基礎看護技術マニュアルで、各技術の手順やポイントを予習してから研修に臨み、研修当日は、項目ごとに実際の医療機器・資材やシミュレーターを用いて、臨床に近い環境で基礎看護技術を実践しました。

【研修の目標】
 患者の安全・安楽のための基礎看護技術を習得できる

【研修の内容】
 COVID-19感染拡大予防のため、研修を少人数で開催し、密にならないよう配慮して研修を実施し、「尿道留置カテーテルの管理」 「ポジショニング」 「酸素療法」 「吸引」 「輸液・微量輸液ポンプ」「PCAポンプ」「トランスファー」の7項目の基礎看護技術の習得を目指しました。各看護技術について皮膚・排泄ケア認定看護師、集中ケア認定看護師、疼痛・緩和ケア認定看護師、臨床工学技士、理学療法士らによる講義を受け、研修者5名に対し臨床指導ナース1名が指導にあたり演習を行いました。

<尿道留置カテーテルの管理>
 尿道留置カテーテルの挿入の目的やカテーテルの構造、管理上の注意点などについて講義を受けた後、指導者がシミュレーターを用いて、尿道留置カテーテルの挿入から管理、抜去までの一連の技術のデモンストレーションを行いました。研修者はモデルを使用して、患者さんの安楽やプライバシーに配慮しながら尿道留置カテーテルの抜去やカテーテルの固定方法、溜まった尿の破棄方法を練習しました。

<ポジショニング>
 皮膚・排泄ケア認定看護師から除圧のポイントを学んだ後、セミファーラー位、右側臥位への体位交換、車椅子乗車中のポジショニングの3項目の演習を行いました。研修者が2人1組となり、それぞれのポジショニングをお互いに実施しました。正しい方法での介助だけでなく不適切な方法での介助も行い、患者役を通じて患者さんが実際にどのような苦痛を伴うかを体感しました。

<吸引>
 吸引は生体への侵襲が非常に高い技術です。集中ケア認定看護師から、吸引でおこる生体反応や、吸引前後の注意事項と観察ポイント、安全な吸引手順について講義を受けました。集中ケア認定看護師のデモンストレーションで口鼻腔吸引、開放式気管吸引、閉鎖式気管吸引の一連の手技を確認した後、研修者はシミュレーターを用いて口鼻腔吸引を行い、感染予防のための防護具の着脱や手指衛生も実践に即した手順で行いました。自主トレーニングの時間で繰り返し練習を行って、安全な技術の習得を目指しました。
   
<酸素療法>
 講義で経鼻カヌラ、中濃度酸素マスク、トラキマスクといった各種酸素投与器具の特徴や、酸素投与方法、酸素ボンベの取り扱いなどについて学び、実際に各種マスクや資材に触れて、酸素器具の組み立てや設定を行いました。患者の急変時にも対応ができるよう、資材の正しい使用方法だけでなく酸素療法中の患者さんの観察点についても学びました。

<輸液・微量輸液ポンプ>
 臨床工学技士から輸液・輸液微量ポンプの仕組みや機器操作方法、アラームの対処方法などについて学びました。その後、実際の機器を使用して、各種機器の設置から点滴投与開始までの一連の操作を行いました。
   
<PCAポンプ>
 疼痛・緩和ケア認定看護師から、医療麻薬の作用、副作用や観察ポイントや注意点についての講義を受けました。臨床工学技士による輸液・輸液微量ポンプの仕組みや機器操作方法についての説明を受けながら、研修者は実際に機器に触れ一連の操作を行いました。
   
<トランスファー>
 理学療法士より、ベットから車椅子への移乗や、歩行が不安定な患者の付き添い歩行介助時のポイントおよび注意点について講義を受けました。研修者5名に対し理学療法士1名が指導にあたり演習を行いました。患者役を通じ、不適切な介助をされることでの不安感を体験しました。正しい体の使い方を学ぶことで患者さんにとっても、介助する医療者にとっても負担の少ないトランスファーの習得を目指しました。

【研修者からの声】
 研修者からは、「ケアや処置の手順や方法を身に付け患者の安全安楽へ繋げていきたい」、「清潔操作や手指衛生のタイミング、防護具の着脱など感染予防行動の大切さを学べた」「実際に使用する物品で演習出来たため、構造の理解に繋がった」との声が聞かれました。また、「処置を行う際にはプライバシーに配慮することや、患者さんに苦痛のないように声かけを行うことが重要だと学んだ」、「患者役を通じて、不適切に介助されることでの苦痛を体験することが出来た。常に患者さんの安楽について考えたい」との声も聞かれ、手技だけでなく患者さんへの声のかけ方や配慮も学ぶことができました。
 多くの研修者から、研修を通じて自己の課題がわかり、トレーニングを通じて技術を身に付けていきたいなどの声が聞かれています。これらの基礎看護技術は緊急時の対応としても必要となる知識・技術であり、新人看護師も夜勤等で対応できることが求められます。後日開催するトレーニングの機会を活用して、確実な技術の習得を目指してもらいたいと思います。