助産師の紹介 MIDWIFE
人にやさしい助産師の育成
私たちの職場では、結婚や出産をして、産前産後休暇や育児休職を取得し、復職後も短時間勤務制度を活用し仕事と家庭を両立しながら活躍している助産師が多くいます。また助産師としてのキャリアを積みながら、アドバンス助産師、臨床指導ナースなど、より専門性の高い活動もしています。
当院の理念である「豊かな人間性の育成」を念頭に、新人助産師の個性を大切にしながら、人にやさしい助産師を育成することを大切にしています。また明るく活気のある職場風土を築き、助産師が長く働き続けられる環境作りを目指しています。
ビデオ通話による遠隔・助産師面談を導入しております
2020年新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、3月には緊急事態宣言が発令され、産科でも助産師との個別面談やマタニティクラス、産褥2週間健診などすべてを中止せざるを得なくなりました。
しかし、さまざまな制約のある中で、大学病院の助産師としてどのような支援ができるのかを検討しました。今回、マタニティクラスはWeb配信に移行し、助産師面談はMeDaCaアプリを活用したビデオ通話による遠隔・助産師面談を導入しました。
電話で声だけで会話するのではなく、ビデオ通話で会話することはお互いの顔が見える環境でコミュニケーションを取ることができるため妊産婦さんの安心感にもつながっています。実際にビデオ通話した妊産婦さんから「外出せず自宅で助産師と顔を合わせて話すことができて安心できた」「受診しやすかった」とのご意見を頂いています。
今回、新たに遠隔面談を取り入れたことで、私たち助産師の働き方も大きく変化しました。助産師は外来にいても病棟にいても遠隔面談ができる環境になったため、業務時間の有効活用にもつながりました。
産科病棟の紹介
- 当院では、分娩件数の増加に伴い経腟分娩の件数も増加しています。分娩介助は助産師が行い、産科医師も立ち会います。また胎児に異常があった場合には、小児科医師も立ち会い、母児の安全を担保しながら分娩管理をしています。
- 2004年に地域周産期母子医療センターに認定され、西部ブロックだけではなくブロック外からの母体搬送も24時間受入れる体制を取っています。
- 生殖領域では、不妊症認定看護師(助産師)と不妊症カウンセラー(助産師)、認定がん・生殖医療ナビゲーター(助産師)が協力しながら、専門性を生かした活動をしています。
- 羊水検査やNIPT等の遺伝検査については、遺伝カウンセラー(看護師)が意思決定をサポートしています。
病棟の看護体制
助産師の育成
慶應看護師の発達モデル・教育プログラムとリンクしながら、助産師の育成を行っています。
新人助産師の育成
看護部集合教育研修
新採用者は、就職して1年目までは「看護部集合教育研修」を通して基本的な看護技術の修得を目指します。
- 基礎看護技術
- 尿道留置カテーテル
- 酸素療法
- 吸引
- PCAポンプ
- 輸液ポンプ
- トランスファー
- 救急時の看護
(BLSプロ バイダーコース) - リラクゼーション
など
- 看護過程とフィジカルアセスメントⅠ
- 看護過程とフィジカルアセスメントII
- リフレッシュ研修
など
産科病棟での業務
新採用者は、就職して1年目までは「産科病棟での業務」を通して産科領域における育児指導技術を学びます。
入職〜約6ヶ月
- 妊娠期・産褥期のケア
- 輸液ポンプや点滴管理
- 母児同室・乳房ケア
- ベビーキャッチ
- 母児の育児指導
入職後 約6ヶ月
- 分娩室業務開始
- PCAポンプの管理
- 看護過程の展開
〜入職後1年
- 夜勤帯の分娩室業務
- ケーススタディ
- インスリン注射
- マタニティクラスのシミュレーション
新人助産師の分娩業務のイメージ
分娩室業務は、就職後約半年くらいから開始し、必ずアドバンス助産師か臨床指導ナース、プリセプターなど先輩の助産師と ダブルで行います。
入職〜約半年
- プリセプターとフォントムで練習
- 業務時間内での自主練習
- 分娩室の外回り業務
- 帝王切開(手術室)のベビーキャッチ
NCPR受講(必須)
入職後 約半年
- 分娩室業務開始(日勤帯から)
- 自然分娩
- 誘発分娩
- 無痛分娩
- 和痛分娩
※アドバンス助産師またはプリセプターと
ダブルで分娩介助実施
〜入職後1年
- 夜勤帯の分娩業務開始
※アドバンス助産師またはプリセプターと
ダブルで分娩介助実施
分娩室業務自立
入職後2年目以降
- 2年目より病棟業務だけではなく、マタニティクラスや産科外来での勤務を開始します。
- 発達レベルⅡに到達した助産師はリーダー業務を開始し、合併症のある妊婦の個別指導や母児のサポート体制の支援ができるようになります。
- 発達レベルⅢ以上になると、ハイリスク妊婦やとても複雑な家族への介入、多部署や地域との連携を行い療養環境調整ができる包括看護実践者に成長します。
助産師からのメッセージ
多職種と連携するチーム医療の大切さを学ぶ
私は助産師として正常な妊娠・出産の過程だけではなく、ハイリスクの周産期管理を経験し学びたいという思いから当院に入職しました。実際に入職してからは多くの合併症を持つ方や、様々な社会背景のある方と関わり、医師や薬剤師など多職種と連携し協力して患者さんによりよい医療を提供するという経験を通してチーム医療の大切さについて学ぶことができました。
また私は産科病棟だけではなく小児科病棟や外来業務も経験したことで、妊娠期〜産褥期・新生児期まで幅広く学ぶことができました。多くの患者さんと関わったことで患者さんの置かれている状況や気持ちはさまざまであり、その患者さん一人ひとりに合った看護が重要だと実感しています。どのような患者さんに対しても柔軟に対応できるように、今後も経験を積み重ね学んでいきたいと思います。
一人ひとりの妊産褥婦に最善な支援を行いたい
私は東日本大震災で被災した経験から、困難な状況下でも母子に寄り添いサポートできる助産師になりたいと考え助産師を志しました。当院は地域周産期母子医療センターとして正常過程をたどる妊産褥婦だけではなく合併症などを有するハイリスクな妊産褥婦も対応することが多く、助産師として幅広い視野や臨機応変に対応できる力を養えることができると考え入職を決めました。
配属後に様々な妊産褥婦を受け持つ中で、一人ひとりの思いやニーズを理解しケアを提供することが、出産体験を肯定的に捉えることや育児へのスタートにつながると学びました。どのような支援が最適なのか迷うこともありますが、先輩方に指導していただき日々様々な視点を学ばせていただいています。今後はさらにアセスメント能力を磨き、一人ひとりの妊産褥婦にとって最善な支援を行える助産師を目指していきたいです。