「インドネシアにおける専門職連携教育および連携医療推進事業」に参加しました
当院リウマチ内科准教授の鈴木勝也医師主体の本事業に、看護部から4名が参画し約半年間の国際交流プログラムが実施されました。COVID-19流行期第8波の影響を受けましたが、オンライン会議やセッションを行い各国が準備を重ね、日本ラウンド・インドネシアラウンドを実現することができました。日本ラウンドでは医師、薬剤師などの多職種と連携しながら、症例検討や講演、病院ツアーを引率しました。インドネシアでは講演、病院ツアーに参加しました。以下にプログラムの概要、実践、成果について報告いたします。
【事業概要】
■国際医療協力局による医療技術等国際展開推進事業の一環
■インドネシアと共同での、高度医療、地域医療における多職種連携医療に関する教育研修
目的:主に多職種連携の実践に焦点を当てて学び、実践に適用し、患者により良い結果をもたらすこと
目標:相互の交流、理解、学び合いを通じて、問題解決への協働の動機付けとなる専門職連携教育・医療連携を実践し、医療とヘルスケアの質的な向上を目指す。
スケジュール:
【研修内容】
日本ラウンド(当院実施分11/21-22) インドネシアから医師6名 薬剤師3名 看護師3名来日
■症例検討2例
各国の知見を用いてリウマチ症例についての症例検討を行いました。
1例目:リウマチ疾患患者の症例について当院薬剤師より、当院における多職種介入案を発表
2例目:挙児希望のリウマチ疾患の患者について当院医師、薬剤師からは妊婦、授乳婦への投薬について治療戦略を説明し、看護師は、意思決定支援の重要性やAYAチーム、リプロダクションセンターの相談機能について紹介
■シンポジウム
多職種連携に対する日本の見解を薬剤師から発表し、多職種連携教育について看護師が紹介しました。
多職種連携教育については、連携医療のための人材育成をテーマにアドバンス研修、3学合同教育、タスクシフトについて紹介しました。
■アクションプラン
当院では3階クラスター外来における経口抗がん薬単剤患者への薬剤師による服薬指導を開始する計画があり、看護師・薬剤師連携強化の取り組みについて報告しました。
■病院見学
2日間にわけて、小人数グループでローテーションしながら救急センター、薬剤部、病棟、外来を見学していただきました。各部署において英語で特徴や仕組みなどについて説明し、質疑応答を行いました。
日本ラウンドの様子:
インドネシアラウンド(1/7-12) 日本から9名渡航:慶應義塾大学病院 医師1名、薬剤師2名、看護師2名、長崎大学病院 医師1名、薬剤師1名、看護師1名、助産師1名
■インドネシアリウマチ学会による国際シンポジウムへの参加
700名以上の聴講者が参加し、当院医師と長崎大学医師が講演を行いました。シェーグレン症候群の口腔内乾燥に対して行われている日本の最新技術を説明し、積極的な質疑応答が繰り広げられました。
■講演3題
日本ラウンドで行った講演を基盤に、インドネシア側が興味関心のあった内容を取り入れたものにブラッシュアップして発表したり、要望があった講演を再演しました。日本の病院システムや大学教育など活発に質疑応答が行われました。
1題目:薬剤師より「腫瘍センターの多職種連携においての薬剤師の役割」について発表
2題目:看護師より「多職種連携における看護師の役割」について発表
3題目:看護師より「病院における多職種連携と看護教育」について発表
■グループディスカッション1題
テーマ「効果的な多職種連携を構築する方法」:情報交換をしていく中で、各国の問題状況を抽出することができ、解決策の糸口を見つけることができました。また異なる問題状況、環境であっても、参考にできそうな部分を互いに認識することができました。
■病院見学
ジャカルタのインドネシア大学/シプトマングンクスモ病院では、リウマチ科、薬剤部、産科病棟、NICUの見学を行い、バンドゥンのパジャジャラン大学/ハサンサディキン病院では、リウマチ科、産科病棟、腫瘍センター、調剤室、MICU、周産期病棟を見学することができました。
インドネシアラウンドの様子:
【全体を通しての成果、課題】
・多職種連携については、単に協力し合うだけではない、相乗効果を図れる多職種連携について考えを深めることができました。とくに看護部・薬剤部間では、お互いの職種の役割や業務について知り合うことができ、連携の基盤を構築することができました。現在も、連携強化により、アクションプランを計画的に進められ、協力し合いながら順調に実践できています。
・多職種連携(Multidisciplinary ≠ Interdisciplinary ≠ Interprofessional )の概念定義について、共通理解を図り取り組むことを次年度への課題としたいと思います。また、今後は、他国の医療者と意見交換を活発に行えるよう、医療英会話の習得も必要であると考えました。