第3回プリセプター研修を開催(プリセプター対象・平成25年11月)
コーチングスキルのブラッシュアップ
「教える指導」から「思考を促す指導」へ
就職して8ヶ月が過ぎ、新人看護師たちも少しずつ一人でできるスキルが増えてきました。夜勤も始まり、新人看護師自身も成長を感じている頃です。 またこれまでは「看護スキル」の習得が学習の中心でしたが、現在は「フィジカルアセスメント」のトレーニング中です。そんな中、指導者であるプリセプター は、これまでの「教える指導」から、新人看護師の成長に合わせた「思考を促す指導」へ指導方法を切り替えていく必要がある時期です。 「新人看護師が担当するAさんの食後の配薬が遅れ、リハビリテーション中に血圧が上昇し、リハビリが中止になった事例」について、プリセプターは何を考 え、どう対応するべきでしょうか。この時期の新人看護師の特性を理解した上で、グループディスカッションを行い、コーチングスキルのブラッシュアップを行 ないました。
概要
●日時:2013年11月15・18日 14:30~16:30(2時間)
●会場:慶應義塾大学信濃町キャンパス 孝養舎
●参加者:2013年度プリセプター看護師 計52名
●内容
「教える指導」から「思考を促す指導」
新人看護師・プリセプター役になって、コーチングスキルをブラッシュアップ ほか
竹内(2006)は、新卒新人看護師は、就職後1年間で、人間関係構築への負担が大きい5・6月と、責務に対する負担が増える9~11月に離職意思が大きくなると述べています(図参照)。
この特性も踏まえた上で、「新人看護師が担当するAさんの食後の配薬が遅れ、リハビリテーション中に血圧が上昇し、リハビリが中止になった事例」について、
このような場面で困っているのはだれか
何に困っているのか
この場面が起きた理由はなにか
改善するにはどうすればよいか
あなたはどのように感じるか。またどうすれば落ち着いて対応することができるか
の5つの視点でディスカッションを行ないました。
ディスカッションでは、「新人もリーダーも困っているが、実は患者さんが一番困っている。(新人は)後でリハビリすればよいと思っていたようで、患者中心 ではなく自分中心で仕事を組み立てていた。先輩も交えて事実をもとに一緒に振り返る必要がある。」などのコメントが出されました。
このようなことは日常的にもよく遭遇する場面で、プリセプターたちも同じような経験を数多くしています。これらを共有することで、「自分だけではないんだ!」と思えて、プリセプターという役割に対する不安感や負担感が軽減できたようでした。
さらに、この事例を通して、第1回プリセプター研修で学習したコーチングスキルをブラッシュアップしました。プリセプターは、新人看護師役とプリ セプター役の両方を経験することで、考えを引き出すことの難しさを学んだり、話しすぎてしまうなど自分のコミュニケーションの傾向に気づいていました。ま た「こんな風にきかれると答えやすいのか」「やさしく話を聴いてくれたので、安心して話せた」など聴くスキルについても、自分自身で見直すことができてい ました。
参加者の声
●患者さんを中心に考えて指導していくことが、何よりも効果的なのではないかと演習を通して再確認した。
●事例のような経験が実際にあり、事例を通してその時の思いや考えを言葉にしてまとめることができた。
●コーチングスキルもブラッシュアップでき、今後に活かせる研修で、今の時期に参加することができて良かった。
●悩みは自分だけかと思っていたが、ほかのプリセプターも同じようなことを感じているとわかり、安心した。 アセスメントを促す新人への問いかけ方や指導方法がわかった。
●ロールプレイを行うことで、自分の指導方法の傾向がわかり、新人への指導方法を見直すきっかけとなった。 ほか
新人看護師は、日々大きく成長しています。それぞれの成長に合わせて、今回ブラッシュアップしたコーチングスキルを、今後の新人指導に活用していくことを期待しています。