教育支援体制EDUCATION SYSTEM

新人看護師の1年

新人看護師をどのように育てるか、多くの病院で様々な検討がなされ、熱心に教育が行われています。当院においても新人看護師が看護過程を実践できるようになり、長期的なキャリアの基盤が築けるよう支援しています。新人看護師の育成は集合教育と現場教育が連動することによって、目標達成できる仕組みになっています。

就職して1年間の目標

  • 職業人としての態度を身につける
  • 医療・福祉関係のニュースに
    関心を持ち
    考えることができる
  • 病院の機能や構造を理解し
    スムーズに
    動ける
  • 所属部署の看護の特徴が
    理解できる
  • 良きチーム員として
    メンバーシップが
    とれる
  • チームメンバーの役割がわかり
    実践できる
  • 看護ケア・業務を正確に
    実施できる
  • 安全に配慮した行動がとれる
  • スタンダードプリコーション、
    感染経路の対策の知識をもち
    実施している
  • 必要な連絡・報告・記録が正確
    かつ適切な表現でできる
  • 看護研究の必要性がわかり、
    研究に関心が持てる

新採用者オリエンテーション(4月)

慶應義塾大学病院の職員としての自覚や、社会人としてのマナーや心構え、専門職としての責任と必要な知識など、3日間の日程で様々な講義や研修を受け、3日目に病棟へ配属となります。新任式、オリエンテーションの様子を紹介します。

新任式

新任式は、入社式に相当するもので、今春採用になる慶應義塾大学病院の職員が対象になっています。医学部長、病院長の挨拶があります。

大学病院オリエンテーション

    新任式終了後より、慶應義塾大学病院に採用された他職種の職員と合同でオリエンテーションを受けます。


    【オリエンテーション内容】

  • 慶應義塾について
  • 院内各部門紹介
  • 教職員身だしなみ・マナー研修
  • 防災訓練 など

看護部オリエンテーション

  • ・看護部の理念と目標
  • ・看護部の組織と方針
  • ・看護師の職務・勤務体制
  • ・就業規則、寮の使用方法
  • ・専門職としての自律とキャリア開発
  • ・慶應看護師の発達モデル
  • ・看護師の義務について
  • ・病院の機能と質保証
  • ・教育プログラムの活用
  • ・看護過程と看護記録(演習中心)
  • ・電子カルテ操作
  • ・チームナーシング、組織人として、
       コミュニケーション
  • ・看護と感染

技術研修(内服・点滴)

新人看護師にとって最初の大きな壁ともいえるのが、リアリティショックです。医療構造の複雑化や技術の高度化、患者ニーズの多様化に伴い、新人であっても 入職してすぐに高いスキルを求められる場面があります。こうした中で命を預かる大きな責任と繁忙な業務に直面してとまどう新人も少なくありません。当院では、このリアリティショックを少しでも和らげスムーズに職場適応できること、基本的技術を習得し自信を持って実践することを目的として、早期に看護技術研修を実施しています。

研修内容

      【研修内容】

    1. 点滴:点滴作成・側管注・
      ピギーバック法
    2. 内服:与薬行動

      【研修方法】

    • 4人のグループで学習。指導者は新人看護師のプリセプターです。

基礎看護技術研修(4月)

業務に少し慣れてきた4月中旬に、安全・安楽のための基礎看護技術を講義と実習によって確認します。違う部署に配属となった同期と再会できる場ともなっています。
講師は、臨床指導ナースをはじめそれぞれの専門領域のCN、CNSに加え、PT、MEなどチーム医療を担う専門職が担当しています。

研修内容

  1. 尿道留置カテーテル
  2. 酸素療法
  3. 吸引
  4. PCAポンプ
  5. 輸液ポンプ・微量輸液ポンプ
  6. トランスファー
  7. ポジショニング
  8. 血糖測定、インスリン皮下注射
  9. 上記項目は、年間を通して自主トレーニングが出来る機会を設けています。自分の練習したい技術を繰り返し、練習することができます。

救急時の看護研修 -
慶應BLSプロバイダーコース -

急性期の患者さんが多く入院している当院では、患者さんの急変場面に出会う可能性も十分に意識しておく必要があります。新人であっても急性期病院の看護師として、救命の連鎖をつなげることができるよう、入職後の早い時期に研修を実施しています。

研修内容

  1. BLSに必要な基本手技の演習
  2. 急変時における看護師の役割
    について
  3. BLSプロバイダーコース受講者には修了証とBLSバッジが授与されます。修了証の有効期限は3年間です。当院では知識・技術の質保証のため、BLS講習を3年に一度、全教職員が受講することとしています。さらに研修で学んだことをもとにクリニカル・シミュレーション・ラボを積極的に利用して、繰り返し自主トレーニングを行うことを勧めています。

リラクセーション(7月)

看護師として働き始めて3カ月が過ぎた頃、何もかも初めての経験でストレスも少しずつたまり始めてきます。緊張度が高く、ストレスがたまったことにも気づかないことがあります。この時期には、新人看護師自身がストレス状態であることを自覚し、ストレス対処方法を身につけるリラクセーションを精神看護専門看護師が中心となって実施しています。

研修内容

  1. ストレスについて(講義)
  2. リラクセーション法の実践

看護過程と
フィジカルアセスメントⅠ研修
(7月)、
看護過程と
フィジカルアセスメントⅡ研修
(10月)

夜勤が始まり、患者さんの異常を早期に発見する力が必要となる時期に、この研修を実施しています。フィジカルアセスメント研修は次のレベルでの研修でも実施していますが、ここで新人看護師の皆さんに用意しているプログラムは、Ⅰでは観察することの重要性に主眼をおき、フィジカルアセスメントに必要な知識が わかり、正しいフィジカルイグザミネーションの方法がわかる。Ⅱではフィジカルイグザミネーションを実施し得られた結果の正常・異常が判断できるよう工夫しています。

研修内容

看護過程とフィジカル
アセスメントⅠ研修
  1. 看護過程演習
    • ・アセスメント
    • ・情報収集
  2. フィジカルイグザミネーション
    • ・循環器系
    • ・脳神経
    • ・呼吸器系
    • ・消化器系
看護過程とフィジカル
アセスメントⅡ研修
  1. 看護過程演習
    • ・関連図
    • ・看護診断
    • ・看護計画立案
  2. フィジカルアセスメント
    • ・模擬患者さんに対するシナリオシミュレーション

リフレッシュ研修
(10月、11月)

この時期になると、多くの看護技術を身につけ新人看護師が自立して看護を実践する場面も増えてきます。看護師としてさらに大きな責任感を感じ始め、ストレスも増えていきます。そこで、スポーツ医学の観点から「同期で集まり一緒にスポーツをすることでストレスを解消しよう」をテーマにリフレッシュ研修を行います。

研修内容

  1. ストレッチ指導
  2. 卓球大会 等

看護過程と
フィジカルアセスメントⅢ研修(3月)

研修内容

  1. 看護過程演習
    • ・評価
  2. フィジカルアセスメント統合
    • ・模擬患者さんに対する
      シナリオシミュレーション

静脈注射研修

末梢静脈注射針、翼状針、留置針の挿入、CV ポート針の穿刺、採血を安全に実施するための知識をみにつけ、技術を習得することを目的に講義・シミュレーターを用いた演習を行います。

研修内容

  1. 注射針、翼状針、末梢静脈留置針の挿入
    • ①安全な実施(穿刺) 法的責任について
    • ②安全に穿刺するために必要な解剖・生理、末梢血管の部位と評価(アセスメント)
    • ③起こりうる合併症、予防や対応
    • ④CV ポート穿刺について
  2. シミュレーターを用いた演習