看護部からのお知らせ INFORMATION

看護過程とフィジカルアセスメントⅠ研修が開催されました

 2021年7月7・9・14・15・16日の5日間、2021年度新採用者を対象にした看護過程とフィジカルアセスメントⅠ研修が開催されました。この研修は看護過程の思考の整理と、フィジカルアセスメントを通して得た結果を統合できるようになることを目指し、発達レベルⅠ到達までにⅠ・Ⅱ・Ⅲの三部で構成されています。
研修者は講義やグループワークを通じて、看護過程や看護の概念枠組みについて学びました。また、呼吸器、循環器、消化器、脳神経、筋・骨格の各領域について問診・フィジカルイグザミネーションの演習を行いました。問診のスキルや正しいフィジカルイグザミネーションの方法を学び、臨床での実践につながる研修となりました。

【研修目標】
1.各領域のフィジカルアセスメントに必要な知識が分かり、実践できる
2.正しいフィジカルイグザミネーションの方法が分かり、実践できる
3.看護過程の概念・プロセスについて、実践と結び付けて理解できる

【研修内容】
 研修者1~3人に対し指導者が1人指導にあたり、演習を行いました。看護過程の講義・演習では、頭痛を訴える模擬事例患者に対し、どのようなデータ収集が必要であるかグループワークで話し合いました。得られた客観的データと主観的データをゴードンの枠組みに沿って整理し、Cueの特定と要約を行いました。さらにフィジカルアセスメントに必要な問診のスキルやフィジカルイグザミネーションについて基本を学びました。

 続いて、呼吸器、循環器、消化器、脳神経、筋・骨格の各領域について講義と演習を行いました。演習時は研修者が看護師役、患者役、観察者(評価者)となり、講義の学びを活かし実際に問診・フィジカルイグザミネーションの演習を行いました。まず始めに、研修者が問診・フィジカルイグザミネーションの演習を行った後、指導者によるデモンストレーション動画視聴を行いました。デモンストレーション動画を見て、研修者は緊急性の判断やフィジカルイグザミネーションの手技・視点を確認し、自分たちの演習には何を補ったら良いのかお互いにフィードバックし合い、安全安楽に配慮をしながら、正しい手技でフィジカルイグザミネーションが実施出来るようになることを目指しました。

<呼吸器系>
 気管や肺区域を表した解剖シールを研修者が自分たちの身体へ貼り、気管や肺の解剖と位置について理解を深め、それをもとに触診や打診、聴診の手技を確認しました。その上で、呼吸器領域におけるフィジカルイグザミネーションのスキル獲得に向けお互いに演習を行いました。また、シミュレーターを用いた正常・異常呼吸音の聞き分けや、異常呼吸音聴取時の看護について学びました。

<循環器系>
 慢性心不全看護認定看護師から、循環器領域におけるフィジカルイグザミネーションや心電図波形の見方について講義を受けました。講義の内容を活かして、循環だけでなく呼吸状態とも関連させながら問診やフィジカルイグザミネーションを実施しました。また、実際の機器を使用し、血圧測定(聴診法)や12誘導心電図をとる練習も行いました。

<消化器系>
 消化器の解剖生理や腹部の区分、フィジカルイグザミネーションを行う際の体位や診察の順番について講義を受けました。その後、講義での学びを活かし患者さんの苦痛やプライバシーに配慮しながら演習を行いました。

<脳神経系>
 患者さんの状況から意識レベルの判断や緊急性の判断を行い、実際に瞳孔所見の評価や麻痺の観察を行う方法も実践しました。 また、意識障害とせん妄の違いや意識レベルが低下した患者さんの要因やアセスメントの重要性を学びました。特に脳卒中の急性期に出現する神経症状が観察できるよう学習し、演習を行いました。

<筋・骨格系>
 日常生活動作に必要な関節可動域について学んだ後、研修者がお互いに関節可動域(ROM)の評価と徒手筋力テスト(MMT)を行いました。関節可動域(ROM)や徒手筋力テスト(MMT)は、リハビリの効果判定や患者さんの変化を捉える指標にもなり、日常生活と関連させてアセスメントすることが大切であることを学びました。

【研修者からの声】
 研修者からは、「看護過程の意義を改めて確認し、フィジカルアセスメントを行う上で根拠や意図を明確にしてから実践していくことの大切さを学んだ」、「グループワークでの演習でお互いの意見や自分への評価を聞くことができ、話し合いながらよりよいフィジカルアセスメントの方法を見出すことができて良かった」、「演習が多かったため、実践でどのような疑問点や困難が生じるか分かりやすかった」、「フィジカルイグザミネーションの手技や解剖学的根拠を学ぶことができた」、「他病棟の同期や臨床指導ナースと交流することで、自分の所属している分野以外の話を聞くことができたので、新鮮かつ貴重な機会となった」など意見が聞かれました。
 今後、スキルアップトレーニングや看護過程とフィジカルアセスメントⅡ~Ⅲ研修を通じて、フィジカルイグザミネーションのさらなるスキルアップを目指し、自信をもって臨床の場で実践できることや、解剖や疾患による症状を理解した上で、正常・異常の判断やフィジカルアセスメントが実施出来るよう、スキルと知識の向上を目指します。